BC48,000

途方もない速度と光を纏って
遥か宇宙からやってきた

はじまりは今から５万年も前のこと。岩壁そびえるアリゾナ州のコロラド高原に、約50mの巨大隕石が衝突しました。落下速度は時速4万6000kmと言われ、一時間もかからず地球を一周してしまうほどの速さ。その衝撃は岩石を撒き上げ、掘り起こし、直径1.2km、深さ200mにもおよぶ「バリンジャー・クレーター」を残しました。大気圏を通過する際の隕石は、太陽にもまさる輝きを放っていたそうです。

1893

地球上には存在しえない
凛々しくも妖艶な輝きを放つ原石

時は大きく流れて1893年。バリンジャー・クレーター周辺で、粉々に砕けた隕石の破片が見つかります。破片の中には、小さくても力強い、星のように煌めく鉱物がありました。これこそが、モアサナイトの原石。そのあまりに凛々しい輝きは、研究者たちをしてダイヤモンドと見紛うほどでした。さらに９年後、名前の由来ともなる化学者アンリ・モアッサンにより、地球上では産出されない、新しい鉱物であることがようやく突き止められたのです。

1998

選りすぐりの化学者たちの
知恵と努力の結晶として再誕

自然に存在しえない稀有な鉱石。神秘の光にふたたび出会うまでには、さらに100年の歳月を要しました。アメリカ・ノースキャロライナ州のチャールズ＆コルバード社とCREE社の化学者たちが心血を注ぎ、1993年、ついにモアサナイトの再現を果たしたのです。それは運命を共にすることを誓った恋人と、時を越えて巡り会うように。宇宙から贈られ、人の叡智によってもたらされたのが、この、星のかけらのように眩しい宝石なのです。